今回は、兄弟間の比較から生まれた劣等感が原因で不登校を経験した村上美玲さん(仮名・現在25歳)のエピソードをお届けします。
中学生時代に家族の期待や兄弟との比較に悩み、自分の居場所を見失ってしまった彼女が、どのようにしてその状況を乗り越えたのか、その過程を詳しく伺いました。

あなたが同じ悩みを抱えていたら、少しでも役立てば嬉しいです。
家族からの比較がもたらした劣等感
――美玲さん、兄弟との比較が劣等感を抱くきっかけになったと伺いましたが、どのような場面が多かったのでしょうか?
「私には兄がいるんですけど、兄は勉強も運動もすごくできる人だったんです。小学校の頃から先生にも褒められることが多くて、両親も『兄ちゃんを見習いなさい』ってよく言っていました。最初はあまり気にしていなかったんですが、中学に上がる頃から比べられるのが辛くなってきました」
――具体的にどんなことを言われることが多かったんですか?
「例えば、テストの成績で『兄ちゃんはいつも90点以上取ってたのに、なんであんたはこんな点数なの?』とか、運動会でリレーの選手に選ばれなかったときに『兄ちゃんは毎年リレーの選手だったのに』とかですね。頑張っても『でも兄ちゃんの方が…』って言われると、何をしても無駄な気がしてしまいました」
不登校に至るまでの経緯
――学校に行けなくなったのはどんな経緯でしたか?
「中学1年生の後半頃からです。学校でも友達と比べられることが増えて、家に帰っても兄と比べられて…。成績が良くないときは家でも叱られるし、友達の前でも自分が劣っている気がしてしまって、だんだん学校に行くのが嫌になりました」
――最初に学校を休んだときは、どのような状況でしたか?
「その日は朝からお腹が痛くて、母に『今日は行きたくない』って言いました。最初は『一日くらいなら』と許してもらえたんですが、その翌日もまた行きたくなくて…。そうやって少しずつ休む日が増えていきました」
不登校中の生活
――学校を休んでいる間、どのように過ごしていましたか?
「最初の頃は家でテレビを見たり、ゲームをしたりしていました。でもだんだん何もやる気がなくなって、部屋にこもる時間が増えました。外に出るのも怖くて、近所の人に会うと『どうして学校に行っていないの?』って聞かれそうで…」
――その頃、家族との関係はどうでしたか?
「母は最初心配していましたが、だんだん怒ることが増えました。『どうして学校に行かないの?』『いつまでこんな生活を続けるの?』って責められる感じで…。父はあまり何も言わなかったけど、家族全体がギクシャクしていたと思います」
家族との関係の変化
――家族との間で変化があった出来事はありましたか?
「ある日、父が私に『学校に行くことだけが人生じゃないよ』って言ってくれたんです。その言葉がすごく嬉しくて…。母も少しずつ私の気持ちを理解してくれるようになり、学校以外の選択肢を一緒に探してくれるようになりました」
再起のきっかけ
――学校以外の選択肢を探し始めたのですね。どんなきっかけで行動を起こしたのですか?
「母が地域のフリースクールを見つけてくれて、そこに通い始めました。最初は不安でしたが、先生がすごく優しくて『ここでは誰も比べないよ』と言ってくれたんです。その言葉に救われた気がしました」
新しい環境での挑戦
――フリースクールではどのような経験をしましたか?
「絵を描いたり、本を読んだり、自分のペースでやりたいことを見つける時間が多かったです。あと、同じように学校に行けなくなった子たちと話す中で、自分だけじゃないんだって安心できました」
高校進学を目指した挑戦
――通信制高校に進学した理由を教えてください。
「自分のペースで勉強できる環境がいいと思ったからです。それに、フリースクールで一緒だった友達も通う予定だったので、安心して進学を決めました」
――高校生活で特に印象に残っていることはありますか?
「デザインの授業があって、それがすごく楽しかったです。自分の作品が評価されるのが嬉しくて、それをきっかけにデザインを学ぶ専門学校にも進学しました」
社会人としての現在
――現在のお仕事について教えてください。
「今はデザイン関連の仕事をしています。過去に感じた劣等感や孤独感があったからこそ、今の仕事での小さな達成感がすごく嬉しいです。自分らしく働けていると思います」
同じ悩みを抱える人へのメッセージ
――兄弟間の比較に悩む方に向けて、メッセージをお願いします。
「誰かと比べる必要なんてありません。自分が好きなことや得意なことを見つけて、それを大切にしてください。一人で悩まずに、誰かに相談するだけで気持ちが軽くなることもありますよ」
まとめ
美玲さんのエピソードは、兄弟間の比較や家族からの期待に苦しむ方々にとって大きな励みになるでしょう。

自分の得意なことを見つけ、新しい道を切り開いた彼女の物語が、少しでも前向きな一歩を踏み出す助けになれば嬉しいです!