今回は、高校時代に勉強についていけなくなったことが原因で不登校を経験した村山智也さん(仮名・現在32歳)のエピソードをお届けします。
周囲のプレッシャーと学業への不安から学校生活が辛くなり、教室から距離を置くことになった彼が、どのようにして立ち直り、新しい道を切り開いたのかを伺いました。

あなたが同じような悩みを抱えてきたら、少しでも参考になれば嬉しいです。
勉強についていけなくなったきっかけ
――智也さん、高校入学後に勉強についていけないと感じ始めたのはどのタイミングでしたか?
「最初の中間テストの結果を見たときです。中学まではなんとか平均点くらいは取れていたんですけど、高校に入ってからは急に難易度が上がって、授業もついていくのが大変でした。特に数学と英語が苦手で、授業中に先生が何を言っているのかさっぱりわからなくなりました」
――そのとき、周囲の同級生との違いを感じましたか?
「すごく感じました。同じクラスには成績が良い子が多くて、みんなが理解しているのに自分だけがわからない気がして…。先生が問題を解く時間を与えても、自分は何も書けないままでした。周りに追いつかなきゃと思えば思うほど焦りが強くなっていきました」
不登校に至るまでの経緯
――不登校になるまでの経緯を教えていただけますか?
「2学期に入る頃には、学校に行くのが憂鬱になっていました。毎朝起きるたびに『今日も授業で何もできない』と思うと体が重くて…。最初は遅刻してでも行こうと思っていたんですが、そのうち遅刻して行くこと自体が恥ずかしくなってしまい、ある日ついに休んでしまいました」
――その後はどうされましたか?
「一度休むとどんどん行きづらくなってしまいました。クラスのみんなが自分のことをどう思っているのか気になって、行けない理由を適当に作って家にこもるようになりました。結局そのまま2学期の途中から行けなくなりました」
不登校中の生活
――学校を休むようになってからの生活はどのようなものでしたか?
「最初のうちはゲームをして時間を潰していました。でも、ずっとゲームをしていてもなんだか虚しくて…。家にいるのに心は休まらない感じでした。両親に『今日はどうしたの?』って聞かれるたびに、罪悪感もあって自分を責めていました」
――家族との関係に変化はありましたか?
「最初は母がすごく心配してくれていました。でも、何日も休むうちにだんだんイライラした感じになってきて…。『ちゃんと理由を話して』とか『どうして頑張れないの?』と言われることが増えました。それが余計にプレッシャーになってしまいました」
家族との関係の変化
――家族との間で大きな変化があった出来事はありますか?
「ある日、父が『学校に行くことよりも、智也がどうしたいかが大事だよ』って言ってくれたんです。それまで自分の意見を言うことが怖かったんですが、その言葉で少し安心できました。それから少しずつ家族に自分の気持ちを話すようになりました」
再起のきっかけ
――学校以外の選択肢を探し始めたのはその後ですか?
「はい、母が地域のフリースクールを調べてくれました。最初は『行けるのかな』って不安だったんですが、先生が『ここでは君のペースでいいから』と言ってくれて…。その言葉で気持ちが楽になりました」
新しい環境での挑戦
――フリースクールでの生活はいかがでしたか?
「すごく良かったです。同じように学校に行けなくなった子たちがたくさんいて、自分だけじゃないとわかったときに安心しました。数学が苦手な子と一緒に問題を解いたり、自分の得意なことを見つける時間があったりして、少しずつ自信を取り戻せました」
通信制高校への進学
――通信制高校を選んだ理由は何だったのでしょうか?
「自分のペースで勉強できるところに魅力を感じたからです。無理して授業に出る必要もなく、必要な科目を集中して勉強できる環境が良かったです。それに、フリースクールで仲良くなった友達も通う予定だったので安心感もありました」
――高校生活で特に印象に残っていることはありますか?
「美術の授業で描いた作品が学校で評価されて、展示されたことです。そのときに『自分にも得意なことがあるんだ』と思えて、自信が湧きました」
社会人としての現在
――現在はどのようなお仕事をされていますか?
「今はデザイン関係の仕事をしています。過去に苦手だった勉強も、仕事に必要だと思うと自然と取り組めるようになりました。自分の作品が形になるのが嬉しくて、やりがいを感じています」
同じ悩みを抱える人へのメッセージ
――勉強についていけないと感じている方へのメッセージをお願いします。
「無理に頑張らなくていいと思います。学校の外にも学びの場や選択肢はたくさんあります。一人で悩まずに、誰かに話してみてください。自分に合ったペースで進めば、必ず新しい道が見つかると思います」
まとめ
村上智也さんのエピソードは、勉強で悩む方々にとって心の支えになるでしょう。

自分に合った環境を見つけて、新しい人生を切り開いた彼の物語が、あなたにとって前向きな一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです!