今回は、自分の容姿へのコンプレックスが原因で不登校になり、その後克服して新しい道を切り開いた山田拓也さん(仮名・現在23歳)のエピソードをお届けします。
12歳で抱え込んだ深い悩みと孤独、そしてそれを乗り越えた経験を伺いました。

同じような悩みを抱える方々にとって、少しでも参考になればと思います!
容姿へのコンプレックスが引き金に
――拓也さん、容姿へのコンプレックスが原因で悩まれていたと伺いましたが、どのようなきっかけで意識するようになったのですか?
「小学校高学年くらいから自分の外見が気になるようになりました。最初は友達とふざけ合う中での何気ない一言がきっかけでしたね。『鼻が大きいね』とか『笑うと変な顔になるよね』みたいなことを言われて、それがずっと引っかかってしまって。特に鏡を見るたびにその言葉を思い出して、どんどん自分に自信が持てなくなりました」
――その後、学校での生活にどのような影響が出ましたか?
「教室にいるとみんなの視線が気になるようになりました。実際には誰も何も言っていないんですけど、自分のことを笑っているんじゃないかとか、何か言われるんじゃないかって怖くなって。だんだん人と話すのも避けるようになってしまいました」
不登校に至るまでの経緯
――学校を休むようになったのはいつ頃からですか?
「中学1年生の2学期くらいからです。朝起きるとお腹が痛くなったり、頭が重く感じたりして、結局行けなくなる日が増えていきました。最初は『体調が悪い』って親に言って休んでいたんですけど、そのうち学校に行くこと自体が怖くなってしまって、行かない日が続きました」
――その頃、周りの人には何か相談されましたか?
「親にも友達にも言えなかったです。『なんで学校行かないの?』って聞かれるのが怖くて、自分でも説明できなかったんですよね。理由を話すことでまた責められるんじゃないかって思っていました」
不登校中の生活と孤独
――学校に行かない間、どのように過ごしていましたか?
「最初はただ寝ているだけでした。家にいるのに安心感もなくて、一日中ぼんやりしていました。スマホでSNSを見ても、みんな楽しそうにしているのを見るだけで辛くて…。友達の投稿を見ていると、自分だけ取り残されているような気がしてしまって、余計に孤独感が強くなりました」
――その孤独感の中で特に辛かったことは何ですか?
「周りの人と比べる時間が多かったことです。学校に行けている子や、何も気にせず過ごせている子が羨ましくて、自分がどうしてこんなに苦しいのか分からなくて泣くこともありました。親とも話すことが減って、家の中でも一人ぼっちのような気分でした」
家族との関係
――ご家族は拓也さんの状況に気づいていましたか?
「母は気づいていたと思います。ただ、どう接していいか分からなかったみたいで、最初は『どうして学校行かないの?』って責めるような感じでした。それが辛くて、母とも距離を置くようになってしまいました」
――お父さんはどのような反応でしたか?
「父はあまり多くを語る人ではないんですけど、僕の好きなお菓子を買ってきてくれたり、何も言わずに隣に座ってくれたりしました。それが逆にありがたくて、少しずつ安心感を取り戻せた気がします」
再起のきっかけ
――そこから、どのようにして前に進むきっかけを掴まれたのでしょう?
「母が『話を聞いてくれる場所があるよ』ってカウンセリングを勧めてくれたんです。最初は行きたくなかったんですけど、一度だけ行ってみようと思って行きました。そこでカウンセラーの先生が『外見はみんな違うけど、それが良さでもあるんだよ』って言ってくれて、その言葉がすごく響いたんです」
――それ以外に何か転機となった出来事はありましたか?
「昔の友達から『久しぶりに会わない?』って連絡が来て、思い切って会いに行ったことですね。その友達が『昔から変わらないね』って笑顔で言ってくれて、それが少しずつ自信を取り戻すきっかけになりました」
新しい環境での挑戦
――フリースクールに通い始めたと伺いましたが、そこではどのような生活を送られましたか?
「フリースクールでは、誰も僕の外見のことを気にしないし、何も言わないんです。それが本当に安心できて、初めて『ここなら大丈夫』って思えました。そこでは趣味を共有できる友達もできて、自分が楽しいと思える時間を過ごせるようになりました」
高校進学への挑戦
――その後、通信制高校を選ばれた理由は?
「自分のペースで進められるところが魅力でした。無理に通学する必要がないし、フリースクールで得た自信を活かしてまた勉強に挑戦したいと思ったんです」
――高校生活はいかがでしたか?
「思っていたよりも楽しかったです。先生も親身で、クラスメイトとも仲良くなれました。初めてテストでいい点を取れたときは、本当に嬉しかったですね」
社会人としての現在
――現在のお仕事について教えてください。
「今は接客業をしています。人と話すことが好きだと気づいて、この仕事を選びました。最初は緊張しましたが、少しずつお客様と笑顔で話せるようになって、自分にもできるんだって思えるようになりました」
――不登校の経験が活きた場面はありますか?
「はい、特に悩んでいる後輩の話を聞いてあげるときに役立っています。自分が経験してきたことがあるので、相手の気持ちを少しでも理解できるのが嬉しいです」
同じ悩みを持つ人へのアドバイス
――最後に、容姿への悩みを抱える方に向けてメッセージをお願いします。
「自分を否定しないでください。誰でも悩むことはあるし、それが悪いことではありません。無理をせず、少しずつでもいいので、自分が楽にいられる環境を見つけてください。必ず道は開けると思います」
まとめ
山田さんのエピソードは、容姿への悩みで苦しむ方にとって大きなヒントになるはずです。
フリースクールや通信制高校で自信を取り戻し、今では人と向き合う仕事を楽しんでいる彼の姿から、同じ悩みを持つ方も新しい一歩を踏み出せる勇気を感じられるでしょう。

この話が力になれば嬉しいです!