今回は、家庭の経済的な問題が原因で不登校になった中村理沙さん(仮名・現在35歳)のエピソードをお届けします。
15歳のときに抱えた深い悩みと向き合いながら、自分らしい生き方を見つけた彼女の物語です。
どのようにして不登校を克服し、現在の生活を築いていったのかを詳しく伺いました。

同じような悩みを持つ方々にとって、前を向くきっかけになれば嬉しいです!
家庭の経済的問題がもたらした変化
――理沙さん、家庭の経済的な問題が不登校のきっかけになったと伺いましたが、具体的にはどのような状況だったのでしょうか?
「中学3年生になる頃、父が勤めていた会社が倒産してしまったんです。それまで普通に暮らせていたのに、急に家計が苦しくなって…。母もパートを増やして家計を支えようとしていたんですけど、それでも足りなくて、家の雰囲気が一気に重くなりました」
――その変化は、理沙さん自身にどのような影響を与えましたか?
「それまでは特にお金のことを気にしたことがなかったんですが、急に学校の給食費とか修学旅行のお金の話が出るたびに、家族に申し訳ない気持ちになってしまって。友達が『一緒に遊びに行こう』って誘ってくれても、お金がかかることは断るようになりました」
不登校に至るまでの背景
――学校を休むようになったのはいつ頃からですか?
「3年生の夏休み明けからです。もともと経済的なことで悩んでいたのに加えて、周りの友達がどんどん進路の話をしているのを聞くと、自分だけが取り残されているように感じてしまって。ある朝、学校に行く準備をしていたときに涙が止まらなくなって、そのまま行けなくなりました」
――そのとき、ご家族に相談することはできましたか?
「相談する勇気がなかったです。両親も生活を立て直すのに必死だったので、私のことまで心配させたくなかったんです。結局、『今日は体調が悪い』とか適当な理由をつけて休む日が増えていきました」
不登校中の生活と家庭内の状況
――学校を休んでいる間はどのように過ごしていましたか?
「最初は何もする気が起きなくて、部屋に閉じこもっていました。テレビを見ても、SNSを見ても、周りのみんなが楽しそうにしているのを見ると、自分だけが取り残されている気がして辛かったです。家族ともあまり会話をしなくなって、家にいるのに居場所がないような感覚でした」
――その状況で特に辛かったことは何でしたか?
「家族の会話が全部お金の話になってしまったことですね。『次の支払いはどうしよう』とか『もう少し節約しないと』とか、聞くたびに自分が家族に迷惑をかけている気がして…。誰にも話せないまま、どんどん自分を責めるようになりました」
周囲のサポートが変えた心境
――そんな中で、何か気持ちが変わるきっかけはありましたか?
「ある日、担任の先生から手紙をもらったんです。『無理に学校に来なくてもいいから、何か困ったことがあったら話してね』って書かれていて、それを読んで少し気持ちが軽くなりました。それに、母が『どうしても辛いなら無理しなくてもいいよ』って言ってくれたのも救いでした」
――友人との関わりはありましたか?
「最初はほとんど連絡を取らなくなっていたんですけど、一人の友達が何度も手紙をくれて。『無理に会わなくてもいいけど、話したくなったらいつでも連絡してね』って書いてあって、それを見て少しずつ心を開けるようになりました」
再起のきっかけ
――そこから、どのように前に進むきっかけを掴んだのでしょうか?
「母が地元の相談機関を見つけてくれて、そこに行ったのが大きかったです。最初はすごく緊張しましたけど、スタッフの方が優しく話を聞いてくれて、『学校に戻ることだけが道じゃないよ』って言ってくれたんです。その言葉が本当に心に響きました」
――それ以外に何か変化を与えた出来事はありましたか?
「アルバイトを始めたことですね。自分で少しでもお金を稼ぐことで家族の負担を減らせるんじゃないかと思って。初めて給料をもらったときは、本当に嬉しかったです。それが少しずつ自信につながりました」
新しい学校生活への挑戦
――その後、通信制高校に進学されたとのことですが、その決断に至った理由を教えてください。
「自分のペースで勉強できる環境がいいなと思ったからです。それに、相談機関のスタッフさんが通信制高校を紹介してくれて、見学に行ったら『ここなら頑張れそう』って思えたんです」
――実際に通ってみていかがでしたか?
「最初は緊張しましたけど、先生も生徒もみんな優しくて、自分の居場所ができた気がしました。課題をコツコツこなしていくうちに、自分でもやればできるんだって思えるようになりました」
社会人としての成長
――現在はどのようなお仕事をされていますか?
「今は福祉関係の仕事をしています。昔、自分が助けてもらったように、誰かを支える仕事がしたいと思ったんです。毎日忙しいですけど、人の役に立てるのが嬉しいです」
――不登校の経験が今のお仕事に活かされていると感じますか?
「はい、特に悩んでいる人の気持ちに寄り添えるのは、自分が同じような経験をしているからだと思います。『一人じゃないよ』って伝えられるのが自分の強みだと感じています」
同じ悩みを持つ人へのアドバイス
――最後に、家庭の経済的問題や不登校で悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
「辛いときは一人で抱え込まないでください。周りには必ず話を聞いてくれる人がいますし、自分を責める必要はありません。無理せず、自分に合ったペースで前に進んでいけば大丈夫です」
まとめ
中村さんのエピソードは、家庭の経済的問題や不登校で悩む方々にとって大きな勇気を与えるものです。
不登校から立ち直り、自分らしい人生を歩み始めた彼女の姿は、多くの人に新しい一歩を踏み出すヒントになりますね。

この話があなたの心に届けば嬉しいです!