今回は、いじめを目撃したことがきっかけで不登校になり、そこから克服して新しい道を切り開いた小川大輔さん(仮名・現在27歳)のエピソードをお届けします。
14歳で抱え込んだ恐怖と葛藤、そして新しい環境で得た前向きな経験を通して、彼がどのように変わったのかを詳しく伺いました。

同じような悩みを持つ方々にとって、少しでもヒントになればと思います!
いじめを目撃したことが引き金に
――中学2年生のときにいじめを目撃されたと伺いましたが、そのときの状況を教えていただけますか?
「はい、あれは同じクラスの男子が標的になっていたんです。最初はからかうような軽いいじりだったんですけど、だんだんエスカレートしていって、机を隠されたり、授業中に物を投げられたりしていました。僕はそれを見ていたけど、何もできなかったんです」
――それを見て、どのように感じましたか?
「怖かったですね。次は自分がターゲットになるかもしれないって思ったら、何も言えなかったです。それに、周りも見て見ぬふりをしていて、誰も助けようとしない雰囲気があったんです。自分もその空気に飲まれて、何もできませんでした」
不登校に至るまでの心の葛藤
――学校に行けなくなったのは、その出来事が原因だったのでしょうか?
「そうですね。最初は普通に通っていたんですけど、だんだん教室にいるのが辛くなってきて。先生もその状況に気づいていたはずなんですけど、特に何もしなかったんです。それが余計に怖くて、次第に朝起きるとお腹が痛くなったり、頭痛がするようになりました。そして、ある日とうとう『もう行きたくない』って母に言ったんです」
――そのときのご家族の反応はどうでしたか?
「母は最初、理由が分からなかったみたいで『なんで学校行きたくないの?』って聞いてきました。でも僕はそのとき何も言えなくて。ただ『行きたくない』の一点張りでした。父はあまり興味がないようで、何も言わなかったですね」
不登校中の生活
――学校を休むようになってからの生活はどのようなものでしたか?
「最初の頃はとにかく何もしたくなかったです。一日中家にいて、テレビをつけっぱなしにして過ごしていました。友達からのLINEが来ることもありましたけど、返事をする気力もなくて、結局返信しないまま疎遠になりました」
――その中で特に辛かったことは何ですか?
「やっぱり孤独感ですね。学校に行っていれば当たり前に話していた友達とも話せなくなって、家族との会話も減っていきました。家にいると『このままでいいのかな』って思うんですけど、外に出る気力もなくて、どんどん自分を追い詰めていました」
家族との関係
――その頃、ご家族との関係はどのような状況だったのでしょうか?
「母とは少しずつ衝突が増えました。母は心配してくれていたんですけど、どう接していいか分からなかったみたいで、『なんで学校に行けないの?』とか『少しは頑張らなきゃ』とか言われると余計に追い詰められてしまって。父は相変わらず無関心でしたけど、姉がたまに話を聞いてくれて、それが救いでした」
再起のきっかけ
――そこからどうやって前に進むきっかけを掴まれたんですか?
「ある日、母が『一度だけ話を聞いてみない?』ってカウンセリングを勧めてくれたんです。正直、最初は行きたくなかったんですけど、何か変えないといけないと思って行ってみました。そこでカウンセラーの先生が『学校に戻る必要はないけど、自分がやりたいことを少しずつ探してみよう』って言ってくれて、少し気が楽になりました」
――それ以外に何か変化を与えた出来事はありましたか?
「はい、地元のフリースクールを見学したときです。そこには同じように学校に行けなくなった子たちがいて、自分のペースで過ごしているのを見て、『ここなら大丈夫かも』って思えたんです」
フリースクールでの新しい挑戦
――フリースクールに通い始めて、どのような経験をされましたか?
「最初はすごく緊張しました。でも、スタッフの方がすごく優しくて、『ここでは何もしなくていいよ』って言ってくれたんです。それで少しずつ気持ちが落ち着いて、同じような経験をした仲間たちと話せるようになりました。そこでは、勉強以外にもいろんな活動があって、特に料理を一緒に作る時間が楽しかったです」
高校進学への挑戦
――その後、高校への進学を決意されたと伺いましたが、その理由は?
「フリースクールで少しずつ自信を取り戻していく中で、『また勉強してみようかな』って思えるようになったんです。それで通信制高校を選びました。通学頻度が少ないし、自分のペースで学べるのが魅力的でした」
――高校生活はいかがでしたか?
「すごく楽しかったです。同じような経験をした仲間が多かったので、お互いに支え合える環境でした。先生も親身になってくれて、初めてのテストでいい成績を取れたときはすごく嬉しかったです」
社会人としての現在
――現在のお仕事について教えて下さい。
「今は地元の企業で営業の仕事をしています。人と話すのが好きなので、自分に合っていると思っています。最初は失敗も多かったですけど、少しずつコツを掴んで、自信を持って仕事ができるようになりました」
――不登校の経験が仕事に活かされたと感じる瞬間はありますか?
「ありますね。たとえば、取引先の方が困っているときに、じっくり話を聞くことができるのは、不登校のときに自分が感じた孤独を知っているからだと思います」
同じ経験をしている人へのアドバイス
――最後に、いじめや不登校で悩んでいる方にメッセージをお願いします。
「一人で抱え込まないでほしいです。怖いかもしれませんが、誰かに話すだけで少し気持ちが楽になります。そして、無理に学校に戻らなくてもいいので、自分が安心できる場所を見つけてください。必ず新しい道が見つかります」
まとめ
小川さんの経験は、いじめや不登校に悩む方々にとって大きなヒントになるはずです。
恐怖や孤独を乗り越え、フリースクールや通信制高校で自分を取り戻した彼の姿から、誰もが新しい一歩を踏み出せる可能性を感じました。

このエピソードが、同じ悩みを抱える方の力になれば嬉しいです!