今回は、部活動でのいじめが原因で不登校になり、その後の人生を大きく変えた佐藤美咲さん(仮名・現在25歳)のエピソードをお届けします。
14歳のときに大きな壁にぶつかりながらも、自分のペースで道を切り開いてきた彼女の話は、同じ悩みを抱える人にとって力になるはずです。

佐藤さんがどのようにしてその状況を乗り越えたのか、そして現在どのような日々を送っているのか、じっくりと伺いました。
部活動でのいじめの始まり
――中学2年生のとき、部活動でいじめを受けたと伺いましたが、どのような経緯で始まったのでしょうか?
「私、中学ではバスケ部に入っていたんです。最初は楽しくて、毎日練習するのが待ち遠しかったんですけど、2年生になった頃から雰囲気が変わり始めたんですよね。先輩が厳しくなるのは普通だと思っていたんですけど、ある日私がミスをしたときにみんなの前で責められて、それから陰口が増えていきました」
――その状況を周囲の誰かに相談しましたか?
「当時は誰にも言えませんでした。友達にも、家族にも。自分が悪いんじゃないかって思っていたので。先生に話そうかとも思ったんですけど、逆にもっと悪化しそうで怖かったんです」
不登校に至るまでの心情と状況
――学校を休むようになったのはいつ頃からですか?
「2学期が始まってすぐですね。朝起きると、もう学校に行くのが怖くて、頭痛やお腹の痛みを訴えるようになりました。最初は母も『大丈夫?』って心配してくれたんですけど、だんだん『また休むの?』みたいな感じになって、それも辛かったです」
――その間、どのように過ごしていたんですか?
「最初はただ家にこもっていました。本を読んだり、テレビを見たりして過ごしていましたけど、心の中では『なんで私だけこんな目に遭うんだろう』って思ってばかりでした。友達からの連絡もだんだん減っていって、孤独感がすごかったです」
不登校中の生活と葛藤
――不登校期間中、特に辛かったことは何ですか?
「やっぱり、自分を責める気持ちが強かったことです。『あのときもっと頑張っていれば』とか、『自分が悪いからいじめられるんだ』ってずっと考えていました。家族との会話も減って、さらに孤立していく感じがありました」
――その中で、少しでも気持ちが軽くなった瞬間はありましたか?
「ある日、母が『外に出てみない?』って誘ってくれて、一緒に近くの公園を散歩したんです。そのとき、何も話さなかったんですけど、外の空気を吸うだけで少し心が軽くなった気がしました」
再起へのきっかけ
――そこから、再び前を向くきっかけとなった出来事は何でしたか?
「母がフリースクールのパンフレットを見せてくれて、『行ってみない?』って言ってくれたんです。最初はすごく抵抗があったんですけど、『学校じゃなくてもいいから、誰かと話す場所を作ってみよう』って言葉に背中を押されて、一歩踏み出してみました」
――フリースクールでの経験はどうでしたか?
「最初は緊張して全然話せなかったんですけど、同じように不登校だった子たちと少しずつ話せるようになって、気持ちが楽になりました。『自分だけじゃないんだ』って気づけたのがすごく大きかったです」
フリースクールで得た新しい視点
――フリースクールでの生活が美咲さんをどう変えましたか?
「学校に行けない自分を責める気持ちが減りました。それに、いろんな価値観の人と接することで、自分の考え方が広がったんです。例えば、絵を描くのが好きな子がいて、その子と一緒に絵を描く時間が楽しくて。自分にも好きなことを見つけていいんだって思えるようになりました」
再び学校生活を送る決意
――高校進学を決めた理由を教えて下さい。
「フリースクールでの先生が『高校は自分の選択肢を広げるための場所だよ』って教えてくれて。それで通信制高校を選んだんです。通学頻度が少なくて、自分のペースで進められるところが良かったですね」
――高校生活はいかがでしたか?
「初めは不安もありましたけど、少しずつ新しい友達ができました。勉強も自分のペースでできたので、プレッシャーが少なくて楽しく過ごせました」
社会人としての現在
――現在はどんなお仕事をされていますか?
「今は福祉関係の仕事をしています。不登校だったときに支えてくれた人たちのおかげで今があるので、私も誰かを支えられる仕事がしたいと思ったんです」
――不登校の経験が役立っていると感じることはありますか?
「はい、特に悩みを抱えている方と接するときに、過去の自分を思い出して寄り添える部分が多いです」
同じ経験をする人へのメッセージ
――最後に、同じように悩んでいる方へメッセージをお願いします。
「どんなに辛い状況でも、自分を責めすぎないでほしいです。一歩踏み出すのは怖いけど、周りには必ず支えてくれる人がいます。無理せず、自分のペースで進んでほしいです」
まとめ
佐藤さんの経験は、部活動のいじめが原因で不登校を経験した方々にとって大きな共感を呼ぶものです。

不登校から再び立ち上がり、新しい人生を歩む彼女のエピソードを通じて、多くの方が自分らしい未来を見つけるきっかけになれば嬉しいです。